2021年12月28日火曜日

蕎麦ツユに辛味大根と焼き味噌

 

日本には、大根に200種類もの品種があり、地方地方で栽培されているという。

農作物には旬と言うものがあり、大根も蕎麦も11月過ぎが美味しい。

 

曲がったまるまる1本のネギで食べる高遠蕎麦は福島県会津地方の名物料理だが、そもそも「高遠」は長野県信州伊那地方の地名である。

なぜ会津のそばに信州の地名がついているのかというと、きっかけは、徳川3代将軍家光の異母弟、保科正之が信州高遠藩の養子となり、その後山形の最上藩へ、更に福島の会津藩へ国替えとなった。その際、無類のそば好きが高じて、そば職人も最上へ、会津へと連れて行ったことによる。

遠く会津で定着したその蕎麦は、敬意を込めて「高遠そば」と呼ばれることになった。

日本そばの始まりは、奈良時代という説が一般的である。

信州蕎麦は、修行に出かけた修験者が、その途中、現在の伊那市内で大変なもてなしを受け、そのお礼としてそばの実を置いていったということから始まる。

かつて、しょうゆやかつおぶしが普及していなかった時代、そばつゆとして使われていたのは「からつゆ」と呼ばれる、焼き味噌とネギ、辛み大根を合わせたものだった。現代の江戸風のそばつゆは、その後出汁としょうゆが普及した時代の味付けだ。

伊那の高遠そばは、ザルに盛ったそばをつけ汁につけて食べる「ザルそばスタイル」。そばのセットには、必ず焼き味噌が添えられている。

しゃもじなどに味噌を塗り、それを焼いてそばつゆに添える。「からつゆ」の名残りである。

そばを食べる前に、焼いた味噌を適量そば蕎麦猪口に取り、そこに現代風に味付けされたそばつゆを流し入れ、味噌を溶く。添えられる薬味はおろした辛み大根と刻みネギ。

つけ汁に浸すと、焼き味噌の風味が、そばの強さと互角の戦いを繰り広げる。そばの味が強い分、つけ汁もそれに負けない力強さを持つようになったのだろう。

高遠辛味大根は地元に行かないと手に入らないというが、食べてみたい。

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