日本は島国であるから、陸続きに越境して不法入国することはできにくい。
航空機や船舶を使って入国するのであるが、最初から不法滞在を狙う者も多く、難民とはとても思えないケースもまた多いという。
不法ならば帰国してもらうしかないが、それを逃れている者たちは強制送還するために収容することができなければ、法治国家たりえない。
産経新聞の記事によると、送還を拒否するなどして収容が長期に及ぶ不法滞在外国人のうち、懲役3年以上の実刑判決を受けた刑法犯が昨年末時点で約310人に上り、うち難民認定申請中が約150人と半数近くを占めることが18日、分かった。
申請を繰り返すケースもあり、申請中は本国へ送還できない「送還停止効」の悪用していることも疑われる。政府与党は難民認定申請に上限を設定する入管難民法改正案の今国会成立を見送ったが、こうした問題は先送りされることになるのだが、それでいいのだろうか。
入管当局は不法就労などで国内に残留する外国人を摘発し、退去処分後に出国するまで原則、施設に収容している。年間で約1万人は処分に応じ出国するが、本人が拒否したり、本国が強制送還に応じなかったりする外国人は、昨年末時点で約3100人に上る。このうち約2440人が病気などの理由で収容施設から「仮放免」されている。
約3100人の中で不法滞在以外に罪を犯し、懲役3年以上の実刑判決を受けた人は約310人で、うち約150人が難民認定申請中だ。懲役5年以上は約180人中約90人、懲役7年以上は約90人中約50人が難民認定申請している。
たとえば、あるアジア人の男は強制わいせつ致傷罪で懲役4年の実刑判決を受け、仮放免中に強〇致傷罪(現強制性交等致傷罪)で懲役6年の実刑判決を受けたが、現在2回目の難民認定を申請している。
アフリカ人の男は恐喝などの罪で懲役2年6月の実刑判決を受け、仮放免中に強〇罪(現強制性交等罪)で懲役5年など2度の罪を犯し、4回目の申請中だという。
送還停止効は入管難民法で規定され、本人から難民認定申請があった場合、審査中は本国へ送還できない。申請には回数に上限がなく、許可の見込みがなくても申請を繰り返す悪質なケースに対応できないでいる。
改正案では難民申請に2回の上限を設定。懲役3年以上の実刑判決を受けた場合には送還できる条件も付した。これまで法相の裁量で例外的にしか認められなかった「在留特別許可」を本人からの申請制にし、難民申請が許可されない場合の救済措置としていた。
入管法の改正が見送られたのは、国民が反対したからではあるまい。なんとなれば、国民の殆どは入管法に無関心だからである。
立憲民主党など野党は、難民保護機能の低下が懸念されることなどを理由に上限設定に反対して、その法案を取り下げなければ、他の重要法案の審議に応じないとして交換条件としたから、やむなく先送りにしたのではないのか?
改正案の今国会成立が見送られたことで、悪質な難民認定申請の根絶が遠のいた形となる。
善良な人たちが犠牲になる可能性に対応する案の提示はない。
人道上の配慮が必要なケースはあるかもしれないが、凶悪犯罪を繰り返す者たちが強制送還を逃れるための手段として難民申請を繰り返すのを放置していてよいはずはない。