むかしむかし、ある山間に美しくて平和な町がありました。住人は、花火が大好きでした。
夏ともなると、町中にある幾つかの神社には、それぞれの氏子が集まって、花火大会の趣向を凝らし、近隣の村々にまで知らせ、夜空を競い合って彩ることを無上の喜びとしていました。
その夜は、商店も屋台も毎年遅くまで賑わいました。
花火職人も町の人も、花火は火薬を使うという危険性を十分知っていて、それでも町の発展の為に協力しあうのだから、住み分けはできていました。
町が発展するにつれ、人が集まるようになり、最初は承知して住んでいたのですが、段々に花火師の家は山裾に追いやられ、それでもたりずに隣村に移らざるを得なくなりました。
大勢の意見には敵いませんでした。
隣村には、町の人の食べ物を供給する為に、家畜の飼育が盛んになりました。中でも養豚は育ちが早いというので、それを専門に飼う家が増えました。
しかし、これにも問題がありました。豚はうるさいばかりでなく臭いのです。
人口が増えるにつれ、養豚業者も段々に追いやられていきました。
良い悪いのお話ではありません。こういうことは沢山ありそうです。
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