2013年11月4日月曜日

君子危うきに近寄らず


 君子は、危ないことはしない。という意味ではない。

 君子たる者は、危ないとわかっているところに好んでわざわざ近寄るようなことをしない、という意味であります。

「君子」とは、学識・人格ともに優れ、徳のある人のこと。

 

 刑場に曳かれて行く石田光成に、警護の武士が道端になっていた柿の実をとって差し出したところ、「柿は身体を冷やすからいらない。」と断った話しは有名であります。

 もうすぐ死ぬ身にしてこの覚悟。プロとしかいいようがない。

 

 野球のピッチャーは利き腕で重い物を決して持たないし、常に肩を冷やさない努力をしている。

 ピアニストは余り握手ということををしないし、かりに握手するとしても強く握り合うことはしない。指を痛めたら困るからです。

 人間楽器ともいうべき、ソプラノ歌手であり、前にこのページに書いたこともあるエディタ・グルベローバは、夏になってクーラーが要る季節になると避暑地に出かけるのだとか。

 クーラーが喉によくないからというのであるが、それでこそ高音であの余裕のあるピアニッシモの声が出せるのだと納得させられる。

 

 縁あって知り合いとなったドイツ在住のテノール歌手が、何年か前のことであるが、直前の北海道公演の折に風邪を引いてしまい、すぐ後の東京公演の時に本来の声がでなかったのがプロとして恥ずかしいといって翌年再来日し、前年の来場者全員を無料招待してくれた。自己責任だという。

 仕事に差し障りがあるとなれば、どんなにやりたいことであってもそれを避けるし、本業に影響がでないよう、健康でいるように気を配る。

 プロというのは、人に見えないところであっても身体を自己コントロールしたり、道具を整えたり、必要と思ったことを地道に鍛え上げたりしているのだとおもう。

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