2019年4月24日水曜日

レディーの言葉


日本語には地方によって訛と呼ばれるものがあって、そこで育つと後からではなかなか治せない発音というのがあるが、別段直さなくてもよいと思う。温かさがあるからである。
東京の下町にも、浅草の旦那衆が自然に会話の中で使っている言葉がある。本人たちは気づかずに使っているのかも知れないが、それも親しみを感じさせる。

大好きな女優さんの一人であったオードリー・ヘップバーンさんが亡くなったとき、エリザベス・テーラーさんが「神様は、また美しい天使をひとり手に入れた」とコメントしことにも、流石一流の方は違うと感銘を受けたが、美しい言葉遣いができるのは全人格的なものだと信じている。
「マイフェアレディー」というのも、その言葉のニュアンスを題材にした素敵な映画でした。

スペインの雨は主に広野に降る。これをひたすら繰り返して練習する場面がありました。
有名な言語学者「ヒギンズ教授」は「ピッカリング大佐」を相手に、「訛だらけの貧しい下町娘
でも、教育次第では立派な上流階級のエレガントな娘に仕立てる事が出来る」と持論を披露し、
それによって二人が賭をすることになる。
イギリスでは、身分階級ごとに言葉が違っていて、どんなに隠しても話しているのを聞くだけで出身が判ってしまうといわれる。

この賭の「実験材料」に選ばれたのが、「コベント・ガーデン」の貧しい花売り娘「イライザ」
でありました。
彼女には激しい「コックニー訛」があったのであります。
Hが発音できないから、ヘレン・ヒギンズ教授はエレン・イギンズとなってしまう。
ロンドンの下町言葉「コックニー訛」は、「二重母音」が上手く発音できず「ei」と発音すべき
ところが「ai」となってしまう特徴を持っています。
つまり「rain」を正しく「レイン」と発音出来ず、「ライン」と訛ってしまうのです。
日本語で言えば、「鮨=すし」が「すす」、江戸が井戸と訛ってしまう様なモノでしょうか。

マイフェアレディーの表題も、実は「Mayfair Lady」つまり「ロンドンの高級住宅街メイフェアに住む淑女」が「コックニー訛」によって訛って「マイ・フェア・レディ」になってしまったと言う、実に気のきいた洒落たタイトルなのでありました。
オードリー・ヘップバーンは、忘れようもなく美しい女優さんでした。

勿論、日本女性の美しさは言うまでもない。
整形をしなくても化粧をしなくても、美人というのが揃っている。
年配になって、内からにじみ出てくることで出来上がった顔は、いろんな経験を昇華し、その上で使われる言葉の優しさまで備えているから無敵である。
どうでもいいが、ある国では美容整形をしすぎて、誰の顔も区別できないほどになっているらしい。
フィギュアスケートの女子選手などで、850万円かけてそれをしたと噂された人がいたが、そんなに金をかけてもこの程度かと、自国民にまで言われているのだと聞くと、気の毒でさえある。とやかく言うつもりはないが、美という者は内面から滲み出てくるもの。
顔は、男女に限らず、全人格的なものが作り上げるものなのだと思うけれど、それにも増して普段使う言葉や立ち居振る舞いは、磨き上げられて「様=さま」になることで美しいものとなって周りに伝わる。

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