2019年4月11日木曜日

気になる「を」と「に」


TVを見ていると、気になる言葉遣いというのがある。
難しい採用試験を受けて合格したのだろうし、厳しい指導をする上司もいるだろうに、本来と間違っていると思われる使い方をしているのを頻繁に耳にする。

格助詞の「に」と「を」は、明確な違いを持つ言葉であり、 普通の国語教育を受けていたら、一般的に誤用されることはまずありえないことの筈。
この2つは
  • 「に」は、対象地格+舞台格
  • 「を」は、直接対象格

例えば、
  • 階段に、のぼる。(あり得ない状況ではないが、本来的にはめったにない。
  • 階段を、のぼる
では、「に」は階段が対象地(目的地)+舞台であり、「を」では、 単なる対象であることが理解できよう。
上記の例は、意味的に「に」も「を」もありうる場合であるが、「小石がフロントガラス“に”当たる」という場合は、""というのは「目的舞台」を現す。
「あたる」であれば、窓なら窓という舞台でそれは起りますので、その言い方は正しい表現となる。
しかし「フロントガラスに直撃する」ということになると、その直接の対象となる舞台、例えば「窓」で起るのではありません。回りの空間を含めた空間の中"" その対象""起るのです。回りを考えるからこそ「直」なのです。
従って、舞台をそこ、例えば窓に、制限する「に」を用いるのは 正しくないことになる。
この場合は、直接対象格である「を」を使い 「小石がフロントガラス“を”を直撃する」というのが正しい表現となる。
これを「自動詞」か「他動詞」か、という観点でみると、自動詞は直接目的語を取りえませんので、それの起こる対象舞台を「に」で指定し、他動詞は 直接目的語を「を」で指定します。

例えば、「当たる」は自動詞なので「に」を使い「窓に当たる」となり 「たたく」ということであれば他動詞なので「窓をたたく」となります。
「直撃する」は他動詞なので「窓を直撃する」となります。

『窓を』と『窓に』との違いは、方向性があるか否かという点だと言えます。
『窓を』は単に対象への働きかけをする動詞(他動詞)に接続します。
『窓に』も同じように対象への働きかけをする動詞に接続するのですが、こちらの場合、その動詞(他動詞)に何らかの方向性が見られる場合があります。
例えば、『友達に会う』『車に乗る』の、『会う』や『乗る』という動詞には「『友達』や『車』に向かっていく」というようなニュアンが含まれていることがわかります。
従って、接続する動詞に方向性があるかないかで、「を」と「に」を使い分けるのが普通です。

漢文をやると、「鬼(ヲニ)に会ったら帰れ」と習いますから、「を」と「に」については感覚的にうるさいとおもいますが、近年この使い方が紛らわしくなっているように感じる。

もう一つ、「を」の使い方がおかしいものがある。
名詞に「する」という字を続ければ、それはそのまま動詞になる。「を」を使う必要はない。
例えば、「投稿する」は、これだけで立派な動詞なのに、どうして「投稿“を”する」などのように、わざわざ間に「を」を使うのか?

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