2018年9月12日水曜日

寺にまつわる妖怪伝説

日本には妖怪伝説というのが数多く伝わっている。
神社仏閣に関連していることが多いが、物には全て仏性や神性があるとすることに結びついているようである。

その中に、蟹坊主(かにぼうず)というのがある。日本各地の寺院などに伝えられていると言う蟹の妖怪で、寺に住み着き問答を仕掛け住職を追い出してしまう。新たに招かれた僧も、現れた妖怪との問答に負けて追い出されたり行方不明になってしまったという伝説である。。
山梨県の長源寺のものが有名である。
住職が居なくなって荒れ果ててしまった長源寺の話を聞いた旅の僧が、村人たちが危険だからと止めるのを押し切って寺に泊った。
深夜になると身の丈3メートルもある僧が現れ、「両足八足、横行自在にして眼、天を差す時如何」と問うた。
たちどころに正体を見破った旅の僧が「お前はカニだろう」と言ったところ、4畳ほどもある大きな蟹が姿を現したので、独鈷を投げつけると、それは蟹の甲羅に深々と突き刺さった。
砕けた甲羅から血を流しながら逃げ去った蟹を夜が明けてから追ってみると、山奥の沢で息絶えていて、甲羅にあいた穴から煙が立ち上り、そこに千手観音が浮かんでいたのだという。
爾来、千手観音をご本尊として寺に祀った。

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