2018年1月7日日曜日

普通の人が超人に変わる

トランスジャパンアルプスレースという、とてつもない体力と精神力を試されるレースがある。
コースに含まれる山々のいくつかには実際に登ったことがあるから解かるが、どれ一つだって
苦しさを感じることなく登り下りすることはできない厳しさを伴う。

レースの模様を放映しているのを見ていて、自らを反省することしきりであった。少しくらい苦しいからと言って泣き言をいうのが恥ずかしくなる。
肖って頑張ることにしたいと思う。

人間の限界を見極めよう、あるいはそれを越えようと決意した人たちが、歩き続ける中で膝を痛め、加えて筋肉疲労により悲鳴をあげて動かなくなる足を叱咤し、血豆とともに剥がれた爪や足裏一杯にできたマメからくる激痛に耐え、それでも諦めずに1歩でも前に進もうとする気力というのは、一体どこから来るのだろう。

自分に負けないなどという簡単なことからくるものでは決してあるまい。
世に知られた超人たちばかりが参加しているのではなく、どこにでも居そうな人たちが、自分の意思で参加しているのである。
疲れ果てて睡魔に襲われても、半分眠りながらでも歩を進める姿に圧倒された。

日本海側の富山湾から北アルプス・中央アルプス・・南アルプスを縦断して、太平洋側の駿河湾までの約415キロメートルを一週間(+予備日1日)で、交通機関を一切使わずに自分の足で走る・歩くことで競う競技なのだという。
山小屋での宿泊禁止で、キャンプ指定地でのテント泊を行うなどの特別な大会ルールがあり、参加にも厳しい条件が付けられている。
距離415km、累積標高差26662mの平均傾斜は6.4%であり、国際的なトレイルレースのもっとも過酷な部類、Category ALに相当する。
海外で最も過酷なウルトラマラソン・トレイルレースのひとつといわれる、ウエスタンステイツ・エンデュランスラン(160km24時間以内、登りで5500m)と比べても、その2.6倍の距離を走るという過酷さである。
コースは平均的なハイカーのペースで約33日かかる距離であるが、参加者はこのコースをたったの5日から8日で走破する。

・コース概要
早月川河口(スタート)-馬場島-
北アルプス(剱岳-薬師岳-槍ヶ岳山荘-上高地)-
上高地-薮原駅-旧木曽駒高原スキー場-
中央アルプス (木曽駒ケ岳-空木岳)-
駒ヶ根高原-市野瀬-
南アルプス (仙丈ヶ岳-塩見岳-赤石岳-聖岳)-
畑薙第一ダム-井川オートキャンプ場-井川ダム-富士見峠-静岡駅-大浜海岸(ゴール) 


・距離 415Km
・累積標高差 27,000
走り終えた人たちの爽やかな顔は、千日回峰行を成し遂げた大阿闍梨のようであった。


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