2015年9月9日水曜日

体調不良は赤い歯茎となって表れる

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床客員教授、「塚原デンタルクリニック」(東京都千代田区)の塚原宏泰院長が説明する。

 「口の中には300種類以上も常在菌がバランスを保ち、体調とも密接に関係しています。体調が悪くなったり、食事内容が悪くビタミンやミネラルが足りない、あるいは偏る、さらには免疫力が低下しても、口の中の常在菌のバランスは崩れるのです。きちんとしたハミガキ習慣がある人でも、体調の変化は歯茎に現われます。赤くなったら危険信号と考えましょう」

 正常な歯茎はピンク色をしている。喫煙によって血行が悪いと紫っぽくなりがちだが、通常は淡いピンク色。それが赤くなったときには、体調が崩れたサインというわけだ。
 「歯茎の変化は、比較的短期間でも症状として現われます。たとえば、夏場の熱中症予防の水分補給で、甘い糖質の入った飲料を知らぬ間にたくさん飲んでいる人がいます。スポーツドリンクなどにも糖質が含まれるからです。体内では糖質(ブドウ糖)を分解するときにビタミンBや亜鉛を使うため、それらが不足すると体調不良に結びつきます。その結果、歯茎も真っ赤になるのです」(塚原院長)

■ 常在菌バランスが崩れると疲れやすくなる

 ビタミンBや亜鉛が不足すると細胞のエネルギー効率が悪くなり、乳酸という疲労に関係した物質も体内にたまりやすくなる。汗をかいたときにもビタミンBは失われるため、夏場に比較的食べやすい炭水化物に偏った食事をしていると疲れやくなるのだ。同時に、ビタミンBや亜鉛の不足によって歯茎の粘膜も正常に保てなくなる。それが「歯茎の赤い状態」として現われるという。

 「歯茎が赤いときには、口の中の常在菌バランスも崩れています。このとき増えやすいのが、歯茎や歯の骨にダメージを与える『レッドコンプレックス』という悪い菌です。腸内細菌のように、口の中の常在菌バランスが保たれていると増えないのですが、崩れると増えるのです。レッドコンプレックスは4種類あっていずれも歯周病の原因となります」()

 歯周病は、歯と歯茎の間で、レッドコンプレックスが増殖を繰り返すことで引き起こされる。歯茎の炎症が特徴だが、症状が進行すると歯を支える骨を溶かし、歯が抜ける原因になる病気だ。厚生労働省の「平成23年歯科疾患実態調査」を見ると、歯周病の疑いがある人は、20代から増え始めている。

 「レッドコンプレックスのひとつポルフィロモナス・ジンジバリスは、歯周病だけでなく呼吸器の病気をはじめ、心筋梗塞といった心臓病、糖尿病などと深い関係があることがわかっています。歯周病は、長い時間をかけて歯茎や歯の骨にダメージを与えます。その間に、菌が体内に気道や血液を通して侵入することで、病気との負の連鎖につながるのです。体調が優れずに歯茎が赤くなったら放置しないようにしましょう。その段階で口の中も、体調も、整えるように心掛けていただきたいと思います」()


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