2020年11月18日水曜日

食い破られたら危険

 

中国軍はインド太平洋地域において米国の介入を阻止するために、「接近阻止・領域拒否」(Anti Access/Area Denial)戦略を重要視している。

接近阻止・領域拒否戦略を実現させる主力はミサイル能力である。弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの開発に対する中国の大規模な投資は、この戦略を充実させるためにある。

中国のミサイル部隊は現在、1500基の短距離弾道ミサイル、450基の中距離弾道ミサイル、160基の中短距離弾道ミサイル、数百台の地上発射短距離巡航ミサイルを備えている。これらは、中国の設定した対米防衛ライン・第1列島線より内側にある米国の同盟国・友好国の日本、韓国、台湾、フィリピン、シンガポールを、中国の接近阻止・領域拒否ゾーンにして、攻撃を可能にしているが、それより以遠となると太平洋上まで出なくてはならない。

中国は第1列島線内で強い軍事力を持っていることは確かだが、第一列島線というのは中国の領地ではない。この線上にある国あるいは島を占拠しない限り外洋にはでられない。何としても一か所だけでも食い破りたい。米軍や他の同盟国が介入する前に、短期決戦で決着をつけ、自国が占拠したのだとしたいと狙っている。即ち「既成事実化」(fait accompli)戦略で現状を改変することを画策しているのである。

日本は米国が頼りであるが、どうなるかは定かでない。列島線内に中国軍を封じ込めるのに最大の有効策というのが潜水艦であることは間違いない。

しかし、いかに優秀でも通常動力型では対処しきれない事態が起こる恐れは十分にある。

原子力潜水艦は長時間の潜行を可能にし、電力の供給力が圧倒的であるから、抑止力として保持する必要性が好まなくても出てくるのはやむをえまい。 

 


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