2014年4月27日日曜日

鍵のかからない料金箱で無人販売ができる文化


もう何年も前のことになります。

家内が倅の留学先を訪ねた折、ミュンヘンのショップに土産物を買いに立ち寄ったところ、お店の店長に日本人観光客が忘れていったというビデオカメラを見せられ「持ち主がわからないのだけれどどうしたものだろう?」と相談を受けたのだと言う。

住所の表示はされていないが、九州からの母娘づれであったということと苗字がかろうじてわかるくらいであった。

日本人が外国で如何に信用されているかという証は、そのように相談を持ちかけられることもさることながら、「では、私が預かって帰って持ち主を探し、送り届けてあげます。」という言葉を全く疑うこともなく家内に預けたということからも如実にうかがい知れます。

 

帰国後、苗字を頼りに九州に電話をかけまくり、とうとう持ち主を捜しだしました。

「カメラはなくなっても仕方ないけれど、撮影した思い出の写真が失われるのは悲しいことだと残念に思っていたところに嬉しい知らせです。」と大層喜び、その後は面識のないままで東京と九州間での電話や季節の挨拶のお付き合いが続いています。

 

世界で自動販売機が何の問題もなく設置運営されているのは日本位だといわれますが、もっと世界の人が仰天するのは、野菜の無人販売なのだといいます。

誰も見ていなくても、代金を払わずに持ち去る人が居ないのは信じられないことだというのです。

野菜がただで持ち去られるどころではなく、代金箱まですぐになくなってしまうのだと。

 

私の住まいの近くにも、生産者直売の野菜無人スタンドがあって、新鮮な品が手軽に飼えて重宝していたのですが、最近それがなくなってしまいました。

何語かわからない言葉を使う人が近所に増えてきてから、料金箱まで持ち去られてしまうので、

信頼関係が成り立たないなら、お互いに不幸だからやめることにしたのだとか。

 
落し物を拾った人が持ち主を探してでも届ける文化を持った国が、いつまでもその美徳を失わずに続くことを願わずにいられません。

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