2019年9月13日金曜日

独裁者には好都合?


主体思想(チュチェ思想)というのは、北朝鮮の金日成が提唱した独自の社会主義理念であるとされている。
朝鮮民主主義人民共和国の指導者であった金日成主席が定式化した朝鮮労働党の独自の指導理念である。
朝鮮労働党はソ連共産党の指導で結党され、当初はスターリンの強い影響下にあったが、1953年にスターリンが死去した後、56年にソ連においてスターリン批判が始まると、北朝鮮での体制を維持するために、スターリン思想を継承しながら独自の社会主義理論を造る必要が生じた。
1955年の演説で金日成が初めて主体思想に触れたとされているが、1970年の労働党大会でその確立が宣言され、以後はこれによる政治体制が続くことになった。
金日成のその主体思想は、「思想における主体、政治における自立、経済における自立、防衛における自衛」という四つの基本のもとに北朝鮮が国家としてソ連や中国からも独立していることをアピールするものであった。
しかしどう考えてみても、それは共産主義なのに世襲制を敷こうとする金王朝を国体として護持し続けるためのものであるように見える。
金日成の後継者である金正日体制ではさらにそれが先鋭化して、「先軍政治」(軍事をすべてに優先させる政治)に変質し、アメリカ帝国主義を主要な敵と位置づけてものとして定着した。
金正日は1997年に朝鮮労働党総書記に就任、98年には国防委員長という肩書きについたが、事実上の独裁者として父の金日成の権威を最大限に利用した。
2011年に死去すると、次男の金正恩が後継者となって「金王朝」を継承した。しばしばミサイル発射実験や韓国基地の砲撃などを行い、世界に緊張を演出しながら独裁権力の維持を図っている。
主体思想という理念が強圧下にある北朝鮮において通用するのは解らなくもないが、韓国にもそれを信奉する勢力が浸透しているらしいことが時折指摘される。
独裁者たらんと考える人たちにとっては都合が良いのかも知れないが・・・

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