2019年9月3日火曜日

磨くべき内面


大和魂というとすぐに戦争に結びつけて、荒々しいものと決めつける人が居るが、それは戦後にイデオロギーに凝り固まり日本文化を貶めようとした人が喧伝したことにより誤って広まってしまったことからのように思える。
しかし大和魂とは、本来的に日本人の持っている美意識の顕れなのだと思う。
日本人は古より体験的に魂の不滅を信じ、それをより美しく磨き上げようとしてきたのである。
そもそも魂とは何かということになるが、真心という穏やかな和みの気持ちが宿ったものと言うことができよう。
つまり「魂が宿る」というのは、人としての心を失わないということである。
人が心を失うということがどれだけ悲劇であるか、日本人の先祖たちはそれを知っていたのだと思われる。どんなに翻弄されても、その心の在り処、つまりは魂の宿る場だけは失わないぞということを、太古の昔からの神々とのかかわりの中で培ってきたものなのだと思う。
平安時代には大和心として定着していた。大きな和の心ということである。江戸時代に本居宣長がそれを再発見した日本人の心のありようでもある。
先祖たちに恥じないように、今の時代でもどんなときも「心」を優先し、人格を高めて人格を磨き続け、こどもたちに先人たちの心を伝承できるように精進していきたいと思います。

これは、日本の神道の一霊四魂(いちれいしこん)という考え方が根底に関係しています。
人の心は4つの魂からできている一つの直霊(なおひ)であるとする。
直霊が4つの魂をコントロールしているということになる。
4つの魂とは、
·         荒魂(あらみたま)・・・勇
·         和魂(にぎみたま)・・・親
·         幸魂(さちみたま)・・・愛
·         奇魂(くしみたま)・・・智
のことである。

荒魂は、魂が活性化され、荒々しい力を示す神霊です。
勇ましさ、向上心、前に進む力、達成する力を司っていて、非常に強いパワーを持っているので、神様の荒御魂を祀っている所で願うと、願いが叶いやすいと言われています。
お願い事をする時は漠然と祈るのではなく、強い気持ちを持ってハッキリと明確にお祈りすると良いとされている。
荒魂が勢いのある神霊であるのに対して、それと表裏をなす和魂は、穏やかな働きの神霊です。
平和、調和、想いやり、人と親しみ交わる力を司り、徳を備えています。

和魂はさらに「幸魂」と「奇魂」に分けられます。
「一霊四魂」というように、荒魂・和魂・幸魂・奇魂は横並びの存在なのですが、幸魂・奇魂は和魂の作用を示したものなので、正確には横並びというよりも、和魂があったうえで幸魂・奇魂が働き、結果として四魂が働くという感覚でとらえられる。
幸魂は、人を幸せにする神霊のことで、優しさ、献身性、人を愛し育てる力を司ります
奇魂は、不可思議な力を持って、物事を成就させる神霊です。
智恵、真理を追及する力、物事を観察・分析し、悟る力を司ります。
幸魂と奇魂の関係も、母性(守る愛情)と父性(社会で生きる力を磨く厳しさ)という対称的な関係のように見える。
神社が身近な存在で、神職にある人たちの話が折々に聞けた時代ではなくなって、そういう精神の在り方を知る術が無くなったことにつれて、恐れ畏まるという人としての美徳からは遠ざかった。唯物史観で理解できることではない。

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