2019年11月4日月曜日

放置しておけない事情


フロントfront)とは、正面、前方を指す英単語である。そこから 転じて、気象や事件などの「前線」、海岸・湖岸といった「水辺(特別にウォーターフロントと言う場合もある)」、 建物に入って最初に目につく場所という解釈から、ホテルや銀行などの「受付」などの意味で使われる。悪い意味で使われるものではない。

ところが、近年は「フロント企業」と呼ばれるものが出て来た。意味するものが悪い。
これは簡単に言えば、暴力団などの非合法組織を背景にして企業活動を行い、そこで得られた利益を非合法組織の活動に使うことを目的とした企業をさす。
隠れ蓑に使うのであるから、表からではそれと判らないような巧妙さを持っている。
こうした「フロント企業」には、大まかに分けて2つの態様があるのだという。
その1つが、最初から暴力団そのものが設立し、その経営に関与している企業。
その2つは、暴力団の準構成員など暴力団と親交のある者が経営する企業で、暴力団に資金提供を行うなど暴力団組織の維持運営に積極的に協力している企業。
バブル経済の頃から、それまで裏の経済社会で活動していた暴力団が、締め付けが厳しくなってきたことに伴い、表向きは暴力団とは無関係を装い、実体は彼らの息のかかった企業の企業活動によって表の経済社会に進出する傾向を強めてきつつある。
そのような暴力団が表の経済社会に進出する「先兵」役となった企業及びその経営者を総称して、暴力団の「フロント(先兵)企業」と呼ぶようになった。
これまでのところ、「フロント企業」が進出している業界は、金融業、土木・建設業、不動産業、風俗営業・飲食業などが多く、最近では、人材派遣業、産業廃棄物処理業などの分野にも進出してきているのだという。
こうした「フロント企業」は、やはり一般の企業倫理や取引常識とはかけ離れた営業活動を行い、一担トラブルが発生すると、背後の暴力団の威嚇力を利用するなど、一般企業にとっては極めて危険な存在であることに違いはない。

非合法組織とは言えないが、背景に国がついている企業というのも、フロント企業に等しいのではなかろうか。
例えば共産主義国家が影になり日向になりその影響力が及ぶファーウェイなどがそうである。
機密情報が筒抜けとなるようなソフトを組み込んでいるから危険だということが言われているが、そればかりではなく、国の資金と情報が投入されているとしたら民間企業では太刀打ちできないことになるから恐ろしい。いずれはそれに席巻されてしまうだろうことは容易に想像できる。
そうなってしまったら取り返しはつかないから、米国がファーウェイを排除しようと躍起になるのは当然と言えば当然であろう。

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