2016年1月3日日曜日

現実問題としての実効支配

実効支配とは、ウィキペディアによれば、
『支配権を主張する現地に実際に軍隊などを駐留させている場合などに、実効支配がなされているとされる。一般に「実効」支配という言葉が用いられる事例は、外国政府による領有または政権そのものの国家の承認が伴っていないケースである。
承認がなされない理由は、当該地域に関する他国との領有権問題や政権の正統性に対する懐疑などである。
承認を受けていない政権で国家の一部の領域を実効支配するものは、「ゲリラ」「反政府組織」などの名称で呼ばれる。』となっている。
解ったような解らないような説明であるが、戦争でもあるまいし、いきなり軍隊を派遣して占領してしまうなどということは、現在の世界に於いてはなかろうから、実効支配には既成事実化する前段階がある。

例えば、尖閣諸島周辺の漁業などであるが、自国の漁船以外の漁船を警備艇などの威嚇をもって実質的に排除し、相手国からの抗議もその国の国内の反対運動も起こらないままそれが常態化すれば、将来的には危うい。
外国船が領海を侵犯したなどというのはニュースで僅かに報道されるが、自国の漁民が追い出されているなどということが報道されることはまずない。
「それは怪しからん」という相手国の運動や抵抗が激しいということが伝わるニュースがあれば、それを見ていて乱暴なやり方は躊躇うようになる。
放置したままでいれば、常態化してしまうということであろう。

水産庁国際課の希国際専門官は「尖閣諸島周辺海域は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)だ。妨害行為の報告があれば、外交ルートを通じて、中国側に抗議する」としているというが、現状は厳しい。
沖縄・石垣島の八重山漁協の伊良部幸吉・専務は「尖閣海域では中国公船から追跡されることもある。組合員からは周辺海域で漁をしたいとの声もあがるが、今は難しい」と語ったという。
2012年9月に尖閣諸島が国有化されて以降、中国公船による領海侵入が激増していることや、近隣諸国での不安定要素の増大などを理由に「現実的な脅威が高まっている」と危機感を持っているという。
安保法案が議論されているとき、沖縄県石垣市の中山義隆市長は日本記者クラブで会見し、同市の尖閣諸島沖で中国公船が日本領海への侵入を繰り返していることについて、「現実的な脅威が高まっている。漁業者は不測の事態を恐れて周辺海域での漁を控えている」と危機感を訴えた。

石垣島を所管するのは沖縄県であるが、知事が最前線の漁民が法案に賛成したと言うことを如何に考えたのかという報道はなかった。

もっとも、小笠原諸島を管轄する東京都も、珊瑚の乱獲被害があったとき、知事が何らかの動きをしたということも聞いてはいない。

要するに何の手も打てないという法制上の不備があったということであろう。

せめてマスコミが大々的にそれらの違法操業を問題視して報道すれば、反応を見ていて小出しにじわじわと入り込んでくる手段に歯止めがかけられるのではないのか、と思う。
弱者の味方だというなら、それが優先されるべきなのでは・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿