2016年7月13日水曜日

日本刀が世界から称賛されるからといって

世界から称賛される日本刀というのは、切れ味が凄いということもさることながら、形状がまた素晴らしくて、美術品の域に達している。

信じ難いほどの切れ味を持ちながら、折れずに曲がらない。
切れ味を増そうとすれば、硬くするよりないから折れやすくなり、折れにくくすれば曲がりやすくなるという、「鉄の本性」を、両方兼ね備えているのが日本刀であり、その性能を持ちながらのものとしては軽くて扱いやすい。

古くは、日本の刃物であった剣というのは直刀であったが、世界に比類なき日本刀の原型が現れたのは、今から900年近く前の平安時代末期であり、続く鎌倉時代には一つの頂点を迎えたといわれている。
以来、日本刀はそれぞれの時代の刀工によってその技術は綿々と伝え続けられ、その上に様々な工夫も付け加えられたが、古刀と呼ばれるものを超えたとの評価は無いようです。

日本刀に特徴的なのは、反りと鎬造(しのぎづくり)。
刃を弧状に反らし、さらに強度を損なわないように肉をそぎ落とした日本刀は、軽くて振り回しやすい。

日本刀の素材である玉鋼(たまはがね)は、良質の砂鉄を木炭でフイゴを使って低温還元する日本古来のたたら製鉄法によって、日本刀用の鋼に精製される。
炭素以外の不純物、とりわけ脆さなどの要因となる硫黄やリンを殆ど含まない、極めて純度の高い鋼となる。
この玉鋼に古い鉄などを混ぜ、鍛えて地鉄として作刀にあたる。

刃文は刀身に描かれる模様であるが、美的な目的で描かれているというわけではない。
刃の部分が強く焼入れされた状態となっており、焼きの入っていない地鉄の部分との境界部分が刃文として現れる。
焼き入れにより反りが生じる過程で、刃の部分には強い圧縮応力が蓄えられることになる。

日本刀の文化は、日帝時代に奪われたのだなどと、無知蒙昧としか言いようのないことをいう人がいるようだが、愚かというも哀れである。
どうして何にでも起源説を唱えたがるのだろうか?

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