2020年9月21日月曜日

軍事力を背景にした狼

 

虎もハエも叩くとの掛け声で始まった当初は期待したが、それはどうやら自分の権力基盤を強めるために政敵を失脚させることだけが目的だったようである。

虎が居なくなったから狼になったということか?

中国では騙される方が悪いのだという考え方が根底にあるようだから、つきあうのは大変である。

 

中国が「戦狼外交」といわれる好戦的な外交姿勢を強めたことで、国際社会との摩擦が目立っている。国内では習近平国家主席が号令をかける「大国外交」の象徴として歓迎する声もあるようだが、地域の安定を損なう覇権主義につながるとの国際社会の批判に、中国は冷静に耳を傾けるべきであろう。

他国から見れば、挑発的な外交ですが、環球時報は四月、中国外交官を「狼(おおかみ)の戦士」と持ち上げ、「中国が従順な立場である時代は終わった」と言い切った。

 こうした強硬路線への転換は、08年のリーマン・ショックで中国が四兆元の景気対策により世界経済を救ったという自信が起爆剤になっているようだ。その後、習政権は「大国外交」を掲げ、経済、軍事力を背景に南シナ海などの「核心的利益」を力ずくで勝ち取る姿勢を鮮明にした。

 アヘン戦争で敗れて「東亜病夫(東洋の病人)」とまで言われ、自信を喪失していたかつての中国。それに対し、習氏は「大国外交で新たな国際関係を築く」と述べるなど、「戦狼外交」に至る一連の強硬路線が大国としての地位を確かなものにすると思い込んでいた節がある。

 しかし、経済力、軍事力を背景に自らの国益だけを追求する近年のふるまいは目に余り、その行き過ぎに周辺国は眉をひそめている。

例えば、中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と領有権紛争を抱える南シナ海に今春、勝手に行政区を設定。八月末には大規模軍事演習を強行し、中距離弾道ミサイルを発射した。中国海警局の船による尖閣諸島周辺の日本領海・接続水域への侵入も繰り返す。

 さらには、中国とは国交のないブータン東部で唐突に領有権を主張しました。ブータンの友好国インドと中国は6月に係争地をめぐって衝突し死者が出た。中国がブータンに仕掛けた紛争にもインドを揺さぶる狙いが透けて見え、危険な行動が目立つ。

 経済建設を優先した鄧小平時代の中国は、外交的に姿勢を低くし摩擦を避ける「韜光養晦(とうこうようかい)」路線をとりました。しかし、習氏は鄧氏の政策を捨て去り、胡錦濤時代に提唱された「平和的台頭論」も一顧だにせず、17年の党大会で「今世紀半ばまでに世界最高水準の国力を持つ強国を建設する」と宣言した。

特に米中関係では、米大統領選で共和党、民主党いずれの候補が勝利しようとも、米国が中国を抑えこみにかかる流れは必定である。中国が「米国の挑戦者」として世界各地で覇権主義的な動きを露骨にし過ぎたからであるが、ドルを基軸とする経済の中にあっては致命的である。

 孤立回避を狙う中国は八月末、外交担当トップの楊潔チ(けつち)党政治局員が韓国とシンガポールを訪問し、王毅外相は欧州を歴訪しました。しかし、米国や日本と関係良好とはいえない韓国を国際社会との橋渡し役にしたい中国の思惑が功を奏すかどうかは期待薄である。

ヨーロッパ諸国に擦り寄りを見せたが、人権問題を重視する諸国は、関係を修復するどころか批判の声の方が大きい。

そうかといって、中国は鎖国政策をとることができない。共産党幹部が自分の利益を追い求めることばかりに夢中で、内需を支える民間の経済基盤を育ててこなかったから、経済は廻るまい。

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