2019年3月30日土曜日

酸化ガリウムを使ったパワー半導体


半導体というと、韓国がその生産量で突出しているといわれていたが、それもとうとう中国に追い越されるのだという。
もともと日本にあった技術である。どの産業もそれを作ろうとする国々が先進国を追いかけ追い越そうとして順番を繰り返しているということなのかも知れない。
まあ、そうはいっても、半導体の基板に回路を焼き付けるには、日本のレンズ技術を抜きにしては成り立たないのだと言うから、根幹の部分にはいつも日本の技術が顔を出すことになる。

それはさておき、技術というのは常に進歩しているから、ひとつの分野が他国に追い越されることがあったとしても、基礎研究を積み重ねてきた日本のような国というのは、どんな状況になっても、いつも最先端のところに居ることに違いはない。
真似やパクリを繰り返していたら、そうはならない。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は20181212日、情報通信研究機構(NICT)と東京農工大学が、イオン注入ドーピング技術を用いた縦型酸化ガリウム(Ga2O3)パワー半導体(トランジスタ)の開発に成功したと発表した。「世界初」(NEDO)とする。
NEDOが管理法人を務める内閣府プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)/次世代パワーエレクトロニクス」の一環で発表された。
 イオン注入ドーピング技術は、半導体を形成するための不純物元素(ドーパント)をイオン化した後、運動エネルギー10keV~数MeV程度に加速し、固体に直接注入する加工方法だ。低コストのプロセスなので汎用性が高く、量産にも適しているので、半導体デバイスの製造に多く使用されている。
 今回、このイオン注入ドーピング技術を使って縦型Ga2O3トランジスタを製造し、その動作実証に成功したという。Ga2O3を低コストで製造できることが実証された今回の成果によって、電機メーカーや自動車メーカーなどでGa2O3パワーデバイスの開発が本格化し、加速することが予想されると、NEDOはリリースで述べている。

半導体といえばシリコンと言われていたが、酸化ガリウムは性能上遥かにシリコンを凌駕するのだという。
ただ、これまでは酸化ガリウムを製造することが難しく、コストも高くなってしまっていたから、それを作ってもコストパフォーマンスに耐えられる装置にしか使えなかった。
が、日本ではこれを解決してしまったらしい。消費電力量を圧倒的に下げた製品として利用できるのだという。

人間の体に例えるならCPUやメモリは「頭脳」であり、パワー半導体は「筋肉」に当たる。
ちなみに、目や耳、口などがセンサーやスピーカー、マイクなどといえる。
CPUやメモリと大きく役割の異なるパワー半導体は、他にもいろいろな違いがある。
CPUやメモリといったIC(集積回路)は、小さな電力で動作する。一方で、パワー半導体は小さな電力から大きな電力を扱う。大きなモーターを動かすための電力を供給する場合もあれば、CPUやメモリを動かすための小さな電力を供給する場合もある。そのため、パワー半導体製品の大きさは、消しゴムよりも小さなサイズから、弁当箱を超えるようなサイズまでいろいろある。逆にICは、大きくても50mm角程度と比較的小さい。
 主眼を置く応用用途も異なる。ICの主力用途はPCやスマートフォン、テレビなど民生機器だ。産業機器などにもICはもちろん使用されるが、最も最先端の技術を駆使した「花形」のデバイスは、コンピュータ、民生機器の用途に投入される。パワー半導体も、コンピュータや民生機器にも使用されるが、パワー半導体の「花形」は、より大きな力強さが求められる産業機器分野に投入されるため、パワー半導体分野は産業機器分野に主眼が置かれやすい。

電気製品・車両・宇宙ロケット・兵器に至るまで、このパワー半導体は中核の部分を占める。

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