2019年3月31日日曜日

手を広げすぎなのでは?


一帯一路の資金の出どころは、貿易収支の黒字をあてているというのが実態であろうと言われているが、このところ中国の経済状態はあまり芳しくないのだという。

中国は発展途中では、鉄は国家なりということで鉄鋼の増産に力を入れたが、それが過剰投資になり、不良在庫を大量に抱える結果となってしまった。
国内のインフラ整備に必要な量を遥かに超えて、世界の生産量の半分を占めるに至ってしまっては、ダンピンングしてでも捌くしかなくなったのだが、輸出先国からは高関税をかけられてそれも上手くいかない。
余っている鉄鋼と労働力を海外に押し付けようと考え出したのが一帯一路構想である。
これは支援先国には技術の発展や雇用を生み出さず、単に結果の構築物の利用という事にしかならないのがみえみえだったことから、日本はそのバスに乗らなかったのであるが、AIIBの評判は芳しくないようである。
もはや資金的な余裕はなさそうなのに、欧州などへの拡大戦略をとっているのが巧く行くとは思えない。確かに影響力だけは残すであろうが感謝はされまい。

米中貿易交渉で手酷く攻撃されている問題の部分は、中国に進出した企業がそこで得た利益を自国に還元できない制度もその一つである。
自国に持ち帰れない利益は、仕方ないので中国国内に再投資するしかない。それをやっていれば、中国の貿易収支は黒字になるに決まっているが、それすらも怪しくなってきて、資金不足が大っぴらにささやかれ始めているのである。
AIIBを使った一帯一路政策は、一方的に中国の利益に結びつく懸念が色濃く、覇権戦略の表れそのもののようにさえ批判されるようになってさえいる。
借入国が中国に返済できなくなると、港湾なり施設なりが否応なしに中国に乗っ取られてしまうのだというから、批判を否定できまい。体裁を変えた侵略ではないのかと危険視されているのである。
自国経済が低迷している国では、背に腹は代えられないから、藁にも縋る気持ちになって一帯一路構想に乗るのかも知れないが、後が怖い。
しかもその上、中国自体の経済が危うい状態だというのに、そこと手を組んでどうなるというのか?表現は悪いが、共倒れになることはないのか?
さらに危惧を呼ぶのが、中国が原子力空母の建造を公言したことである。
大陸国家が海洋国家のように振舞おうとしたら、太平洋への出口に位置する日本や台湾・フィリピンとの軋轢が生じることが目に見えている。
自らを大国だと自慢しているのであるから、世界からの信頼を裏切らないことを切に願うしかない。

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