2013年12月2日月曜日

星降る夜に


アイソン彗星は、見ようと思っていたのに、見ないうちに消滅してしまったらしい。

 

 あの星を とってくれろと 泣く子かな (江戸川柳) な~んていうのがありましたっけ。

 

 小学生のころまでの郷里の空は、満天星躑躅(どうだんつつじ)のように、空はあたり一面ちりばめられた星で埋まっていました。

 特に夏の天の川なんぞは、日が落ちて暗くなってからの帰り道、家族で家路を辿りながら見上げるとき、箒でかき集められそうに近く見えたものでした。

 もう、ふた昔以上前のことですが、家をはなれて十数年ぶりに帰ったときの故郷の夜空は、霞か雲かに覆われたように朧にかすんで、もはや往時の透明感とは程遠いものになっていたことを思い出します。

 

 更にその後何年かして、長野県の野辺山を訪ねたときの夜、さすが天文台があるくらいだから、星々は昔日の想い出のごとくに綺麗だったのですが、それにもまして忘れられないのは、雨上がりの八ヶ岳山頂近くで見た夜空。

 握りこぶしほどとまではいいませんが、大きくくっきりしていて、手がとどきそうにおぼえ、転じて麓のかたを見やると、遠く町の灯りがまたたき、天も地も光の渦に浮かんでいるような心地でした。

 南の島で、初めて南十字星を見たときの空も、忘れ難い。

 けっこうロマンチストなのかも知れません。

 

 

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