2020年10月20日火曜日

論ずるのであれば対案を示さないと

 

17条の憲法というのがある。

一曰。以和爲貴、無忤爲宗。人皆有黨亦少達者、是以、或不順君父乍違于隣里。然、上和下睦諧於論事則事理自通、何事不成。

この第一条冒頭の「以和爲貴」の部分だけが独り歩きして、単純にみんな仲良くしなさいという意味だというのが一般的な理解である。

しかし実際は「以和爲貴、無忤爲宗。」までが対句として一文となり、現代語訳は次の通りです。

第一条    おたがいの心が和らいで協力することが貴いのであって、むやみに反抗することのないようにせよ。それが根本的態度でなければならぬ。

全文を読むとこの憲法は、論うことを重視している。

論う(あげつらう)というのは、現代のように小異を主張しあい不備をついて相手を言い負かせば勝ちというようなことではない。面を上げて意見を述べ合い(あげつらうの本来の意味)、互いの足を引っ張りあうのではなく、より良いものになるよう議論を重ね、決まったら畏まってそれを守れということである。はるか昔に日本人がもちえた知恵である。

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