2017年9月25日月曜日

ソーラー発電にも問題点が多い

菅直人内閣の時に、自らの原発事故対応の初動処理の誤りが指摘されもする中で、太陽光発電の政策があわただしくも採用された。
原発から他の発電設備に変えることについては、原発事故被害の甚大さということもあって、世の趨勢は大方が賛成の方向にあった。
しかし急ぐあまり、十分な検討がなされたかどうかについては、疑問が残る。
代替発電による電力の買取価格が異常に高いことや、設備の構築に外国資本の参入が制限されなかったこともあって、現在の電気料金に上乗せされている金額に問題点を指摘する声も多い。
目立たないように徴収されているそれらの金額は実質的増税であり、デフレ脱却を阻害する一因であるとまで言う人もいる。
太陽光発電は、再生可能エネルギー電力の柱として、政府が積極的に導入を支援してきた。そのテコになったのが、20127月からスタートした再エネ固定価格買取制度(FIT制度)である。FIT制度は、太陽光発電をはじめとして、風力発電、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電の5種類の再エネ電力を、電力会社に一定の価格で買い取ることを義務付けた制度である。
この制度は、固定価格買取制度と呼ばれるように、年度ごとに決められた価格によって、その後、10年~20年間にわたって、電力会社が買い取らなければならない。
太陽光発電などの再エネ事業者にとっては、極めてうま味のあるビジネスである。具体的にいえば、住宅用太陽光発電(10kW未満)に関しては、FIT制度が始まった2012年には、買取価格はkWh当たり42円とされた。この価格は、家庭用電気料金単価が1kWh24円なので、その2倍近い価格である。
電力会社から買う電気を、家庭で使わずそのまま太陽光発電の電気として売れば、黙っていても儲かるということになってしまう。
ただそんな儲けは許されるはずもなく、家庭の場合は、家庭で消費する以上に発電された太陽光発電を電力会社が買い取る場合に限るという条件つきである。つまり、住宅用太陽光発電の場合は、「余剰電力」の売電が対象である。
太陽光発電を買い取る電力会社にしてみれば、電力料金よりはるかに高い価格で買い取るわけだから、大きな負担となる。
そこで、FIT制度の目的(電気を利用する国民すべての負担で再エネ電力の導入拡大を図る)ということから、電力会社が買い取る費用は、「再エネ賦課金」の形で、電気料金に上乗せされることになっている。そのため、太陽光発電の導入を拡大すればするほど、買取費用が増え、再エネ賦課金の増大によって、国民負担が増えることになる。
FIT制度が始まった2012年度で電力会社の買取費用は、約2500億円だったのが、2016年度では約23000億円と、実に10倍近い急増ぶりとなった。
標準家庭の月額負担額に換算すると、2012年度の66円から2016年度では675円と、ほぼ10倍の増加だ。買取費用は今後も増え続け、2030年には3.7兆円~4.0兆円に達すると想定されている。
国はそうした国民負担の増大に危機感を抱き、FIT制度を見直し、20174月から新たな改正FIT法として施行した。
改正点はいくつかあるが、発電単価に関しては、買取価格の引き下げと、数年先の買取価格の目標を設定した点が大きなポイントである。それによると、住宅用太陽光発電に関しては、2017年度の買取価格はkWh28円に、さらに2018年度には26円、2019年度には24円と順次引き下げる方向を示した。
そして2020年度以降、早期に売電価格が電力市場価格並みとする目標を示した。つまり、電力会社の買電価格は今後とも引き下げられ、2020年以降は市場価格(卸電力市場での取引価格)での取引が原則になるというわけである。
FIT制度は2012年から始まったが、実は、住宅用の余剰電力買取制度は、200911月からスタートした。この時の買取価格は、何と、kWh当たり48円だった。太陽光発電がそれほど普及していなかった時期で、国としても高い買取価格設定によって、住宅用太陽光発電の普及を急ぐ必要があるとの判断から。

日照時間に左右される太陽光発電が、安定的な電力を供給できるかどうかということも問題だが、パネルが老朽化したときの処理をどうするかということも大問題となる。
電気料金の公平性ということについては、代替電力を供給する設備会社に電力税を課すなどの検討も必要となるのではなかろうか。


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