2018年8月8日水曜日

中国は対応を見誤ったのか?

アメリカが仕掛けたといわれる米中の貿易戦争というのは、お互いが関税を上げ合うことでせめぎ合っているようでが、これは傍目から単純にみても勝負にならない。
互いの輸出額をくらべてみると、圧倒的に米国の輸入額の方が大きいからである。
負担増になる額が圧倒的に違う。

米国のモノの貿易赤字等の推移をみると、 2017年の米国のモノの貿易赤字額は全体で8,112億ド ル(約86兆円)。その内、中国が3,757億ドル(約40 兆円)と全体の46%を占めている。
同比率は、2000年 の19%から倍以上に拡大している。
トラン プ政権は今後1年間で1,000億ドルの赤字削減につながる具体策を中国に求めている。  2016年時点で、中国は輸出の約2割を米国に依存して いるが、一方の米国の最大の輸出先はカナダやメキシコ (各々2割弱)であり、中国向けは1割弱である。
 米国の対中国のモノの貿易総額(輸入と輸出合計)が増加傾向を続け、2017年時点で約6,400億ドルとなって いるが、世界のモノの貿易総額に占める米中合計 額の比率は2005年の19%から2016年には23%に拡大 している。
米中関係がもつれた場合、世界 貿易への影響は大きいと見られているが、 2016年の米国から中国への主な輸出品目と金額は、① 雑穀、種苗、果物等が150億ドル、②航空機が150億ド ル、③電子機器が120億ドル、④機械が110億ドル、⑤ 自動車が110億ドルとなっている一方、中国からの 輸入は、①電子機器が1,290億ドル、②機械が970億ド ル、③家具・寝具が290億ドル、④玩具・スポーツ用品 が240億ドル等となっている。米国の中国からの 鉄鋼やアルミの輸入額は2017年時点で46億ドルである。
中国の米国債保有状況中国は20181月末時点で約11,700億ドル(全体の 約2割)の米国債を保有していて、米国外では最大の米国債 の保有者である。
中国が米国債の保有額で初めて日本を抜いて世界一と なったのは、リーマン・ショックが起きた20089月のこと。経済危機対応で増発された米国債の一部を中国が 引受けました。
中国が報復措置としてこの米国債を売ったらどうなるか?
これが米国の恐い所で、それを紙屑同然だとしてしまう法律が米国にはあることである。

実体経済を支える資本や技術は、残念ながら中国はまだ弱い。外国企業が引き上げてしまったら、中国経済はもちこたえられない。独裁政権であるから人民元を増刷して凌いでいるらしいことはバレバレで、このところ人民元安が続いている。下手をすれば暴落しかねない。
アメリカのやり方が良いとは思わないが、中国が公正な貿易政策をとっているかどうかは疑わしい。少なくとも米国は、国際ルールに沿った貿易を中国はしていないと思っているに違いなさそうに見える。
不公正な方法で利益を上げ、それを軍事力の増強に使われるのではたまったもんじゃないと思ったら、アメリカは何をやるかわからないということであろう。

米中だけのことにとどまらず、世界の貿易に多大な影響を及ぼす問題だから、困ったものである。



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