2017年8月4日金曜日

「扶桑の国」・「日出ずる国」

日本国には、いくつかの別称があります。そのいずれも優雅な響きをもっている。

「扶桑の国」
中国最古の地理書「山海経(せんがいきょう)」によると、はるか東の海上に扶桑という巨木があって、そこから太陽が昇るとされていた。
古代、東洋の人々は、不老不死の仙人が棲む理想郷とされていた「鳳来山・崑崙山」にあこがれ、その地にあるという太陽が毎朝若々しく再生してくるという生命の樹「扶桑樹」にあやかろうとした。
「蓬莱山」と「扶桑樹」は、古代の神仙思想が育んだ幻想ではあろうが、海東の彼方には、亀の背に乗った「壺型の蓬莱山」が浮び、その谷間には、そこから太陽が昇る「巨大な扶桑樹」が聳え立っていると信じていた。
古代の人々は「蓬莱山に棲む仙人のように長生きし、扶桑樹に昇る太陽のように若返りたい」と強く願い、蓬莱山と扶桑樹への憧憬を募らせていたという。
その地は、東海上に実在する島国と考えられるようになり、実在の島国とされるのは日本ということになった。それと共に、扶桑の木は特に巨木というわけではなく「その国には扶桑の木が多い」という話に代わっていった。
中国のある字説に、太陽が木の下にあるのを「杳(ヨウ、くらい)」、木中に昇るのを「東」、木の上にあるのを「杲(コウ、あかるい)」とし、そこで言われる木というのは、中国の東方の島(日本)にある「扶桑」であるとしている。

「大八洲(大八島)」
日本本州の古代の呼称でもある。日本最古の歴史書「古事記」では「大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま)」、同じく歴史書「日本書紀」では「大日本豊秋津洲(おおやまととよあきつしま)」と表記されている。
伊邪那岐・伊邪那美による国産み神話でできた島々である。
本州・九州・四国・淡路・壱岐・対馬・隠岐・佐渡などの「八つの島」の総称 とされているが、日本神話においては「八」は聖なる数とされており、漠然と数が大きいことだと解した方がよい。

「秋津洲(あきつしま)」
神武天皇が国土を一望して、トンボのようだと言ったことが由来とされている。
昔は、トンボのことをアキツと言った。

「瑞穂の国」
古事記の記述によると、日本は「豊葦原の瑞穂の国 (とよあしはらのみずほのくに)」とされている。
豊かな広々とした葦原のように、瑞々しく美しい稲穂が実る国という意味だろう。
弥生時代になって低地に定住して米作りを始めると、米作りに適した土地として豊かさを象徴する国であると思ったに違いない。


よく言われている「日出ずる国」や「大和」だけではない。

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