2020年1月4日土曜日

身柄引き渡しは期待できない


レバノン外務省は12月31日、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が日本からレバノンに出国した問題で、「ゴーン氏が日本を出て、ベイルートにたどり着いた状況は分かっておらず、それに関する一切はゴーン氏の個人的な事柄だ」として、政府の関与を否定する声明を発表したというが、刑事被告人を受け入れたことは事実である。
レバノン共和国側の声明では、日本とは「犯罪人引き渡し条約」を締結していないことに言及し、ゴーン被告の身柄引き渡しに応じない姿勢を強調しつつも、「日本との良好な関係を築いていきたい」として、日本との外交問題に発展するのを避けたい意向を示したというが、かなり虫のいい話である。日本側が手を拱いているだけでは日本が国として蔑ろにされたに等しいから、何らかの制裁圧力を課しても良いと思う。
北朝鮮による日本人の拉致も、韓国による金大中の拉致も、日本からいとも簡単になされたが、その対応策さえ整備されていない上に、今回のようにプライベートジェットまで使われるとなると、日本への入出国についてはパスポートコントロールだけで対処できない。
不届き者は複数のパスポートを使い分け、更にそれすら不要にできる、入管を通らないルートまで、金や組織を使えば可能だということが露呈してしまったのだから、法治国家として真剣に対処方法を構築しなくてはなるまい。
ゴーンの逃亡劇に味を占め、犯罪目的で日本に入国を図る輩が多発する危険性だって想像できる。
弘中氏や裁判所が法を建前にして成したことが完全に裏切られたということであるが、法を守る気がない人を相手にしたら、綺麗ごとでは通らない現実があるのだということを強く認識しなくてはならない。
いずれにしても、国際問題に発展しかねない状況を惹起した責任は大きい。

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