2020年3月21日土曜日

これで一息つけるかどうか


貿易決済のためのドル不足を心配して日本への擦り寄りを試みていたが、身から出た錆ということで快い対応が得られず、日本以外でもドル建てのスワップに応じる国はなかった。
米韓通貨スワップが締結されたということで、韓国では日本不要論を唱えるむきもあるようだが、まるで解っていない。
この通貨スワップは、日米他の5か国間で結ばれている通貨スワップとはまるで違って、いうなれば為替スワップのようなものだという。ウォンを担保に低利で借り入れができるというだけのこと。
FRBの思惑は、資金回収に出遅れてしまった外資が、韓国のドル不足で身動きがとれなくなるのを防ぐための時間稼ぎだともいわれてもいるから、安心してばかりではいられまい。

韓国銀行(韓銀)19日夜、米中央銀行の連邦準備制度(FRB)と通貨スワップ協定を締結した。
外国為替市場でドルの流動性不足が起こり、急激なウォン安ドル高が進んでいることを受け、米韓両国の交渉が成り立ったものと見られる。
韓銀は同日午後10時、FRB600億ドル規模の2国間通貨スワップ協定を締結すると公式発表し、韓銀は通貨スワップを通じて調達した米ドルを直ちに供給する計画だという。
通貨スワップとは、マイナス通帳のようにいつでもドルを引き出して使えるようにする制度だが、今回の通貨スワップ協定を締結した韓国と米国は、必要な場合、自国通貨を相手の中央銀行に預け、それに相応する外貨を借りることができるということであって、いうなれば借入枠を確保したのに近いように見える。
ドルの確保がその分だけ容易になるという意味はあるが、期限がくればいずれは返済しなければならないし、ウォン・ドルの為替レートに介入する為には使えなさそうである。
韓銀は報道資料で「最近急激に悪化したグローバルドル資金市場の梗塞の解消のため、通貨スワップ協定を締結した」とし、「最近ドルの需給不均衡で為替レートが急上昇している国内外国為替市場の安定化に寄与するだろう」と期待感を示した。韓銀は、「今後、主要国の中央銀行との協力を通じ、金融市場の安定化に向けた努力を続けていく計画だ」と付け加えたが、それがどうなるかは不確かである。
 
今回の韓米間通貨スワップ協定は、20081030日に300億ドル規模の通貨スワップ協定を締結して以来2度目。2008年当時は、グローバル金融危機の影響を受けて国内外の外国為替市場でドル流動性危機を巡る懸念が高まる中、電撃的に締結された。締結当時、2009430日までの6カ月間の期間限定で適用される予定だったが、200924日に6カ月間延長したのに続き、626日にはさらに3カ月間延長し、201021日に終了した。
当時、米韓間通貨スワップ協定により、ドル流動性への不安心理が緩和され、高騰していたドルに対するウォン相場も早いテンポで安定を取り戻したが、ドルに対するウォンの相場は20088月末の1ドル=1089ウォンから協定締結当時は1ドル=1468ウォンまでウォン安ドル高が進んでおり、契約終了時点では1ドル=1170ウォンであった。
 
現在、韓国銀行は1932億ドル以上の通貨スワップ協定を締結している。2国間通貨スワップはカナダ(事前限度なし)や米国(600億ドル)、スイス(106億ドル相当)、中国(560億ドル相当)、オーストラリア(81億ドル相当)、マレーシア(47億ドル相当)、インドネシア(100億ドル相当)、アラブ首長国連邦(UAE54億ドル相当)8カ国と結んでいる。
多国間通貨スワップ(CMIM)ASEAN+3カ国(384億ドル、13カ国)と締結した。
韓国にとっては、日本との通貨スワップ協定が市場の安定に最も役立つと見られるが、現在の両国の外交的状況を考慮すれば、その可能性は低い。
一方、米FRBは同日、韓国以外にもデンマークやノルウェー、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ中央銀行やシンガポール通貨庁など9か国と同時にスワップ協定を締結すると発表した。

しかし、韓国における問題は経済の冷え込みにどう対処していくかであり、反日を国是としているようでは、先行きの見通しは立つまい。

0 件のコメント:

コメントを投稿