2013年3月11日月曜日

知識と体験 理解から実用


春日大社の境内に、「神仙境」という土産物店がありました。

店内に、打ち刃物である包丁類が並べられていたので聞いてみると、当家はそもそもが三条鍛冶の伝統を継いでいて、刀鍛冶なのだという。

三条鍛冶といえば、古刀の名流。

 

知識でいえば、今のネット社会の若い人たちの中には詳しい人が多いのだと思います。

でも、刃物を使った体験を持っている人は少ないのではないだろうか。

親や先生が、危ないからということで、使わせないからでもあります。

 

私たちが子供の頃は、誰もが「肥後の守(ひごのかみ)」と呼ばれる折りたたみ式の小刀を持っていました。

それで鉛筆を削ったり、木工の玩具などを自分で作りました。

ときに誤って、手に傷を負うこともありましたが、刃物で手を切れば痛いし血が出るということや、刃物を入れる角度や力加減を自然に覚えました。

切れない刃物を使うと怪我をするということも自然に覚え、切れ味が悪くなると自分で砥石で研いで、刃先を鋭くしたものでした。

他人を傷つけるなどということは、まず聞いたことがありません。

 

最近は、大人が危ないからという理由だけで、子供に体験させることがなくなってしまったものが多いのではないだろうか。

気をつけなくてはならないこと、使い方ややりかたを教えれば、子供は正確に理解する。手出しをしないで見守っていれば、使いこなすようになるのは早い。

 

体験の伴わない知識というのは脆い。知識と理解は別物。

知識だけでは実用に役立たないし、発展的な援用もできないし、工夫して使いこなしたり、用途に合わせて改善するということにも結びつかない。

体験させるには、大人も我慢と勇気が要るのです。

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