早いもので、もう桜は八重の時季です。今にも降りだしそうな空の下で咲い
ていました。
ハラハラと散り敷く花びらを、なぜか掃き捨ててしまう気になれません。 幼
いころ、母から聞いた話を想いだします。(母は、今98歳の誕生日を迎えて
亡くなりました。)
あるお寺に修行で入った小坊主さんがいました。
秋が深まり紅葉が舞い落ちる頃、和尚さんに言われて庭の掃除をしました。綺
麗に掃き清めて報告に行くと、庭を一瞥した和尚さんがやりなおすようにと言
ったのだそうです。ちゃんときれいにしたのに・・・と思いつつもやり直しを
して再度報告に行くと、先ほどと全く同じにやり直しをいいつけられました。
思い余ってか腹立ち紛れかモミジの幹を蹴飛ばすと、紅葉した葉が地面に散
り敷きました。
「終わりました。」と和尚さんに告げにいくと、「うむ、それでよい。」と満足げにおっしゃったのだそうです。
庭をみやると、緑の苔の上に程よく散らばった紅葉した葉が冴えて、美しかったのでした。
お掃除は、なんのためにやるのかということでは、意味深いこと。
ところで、八重で連想する言葉に、七重の膝を八重に折って、というのがあります。 七重の膝ってどんな膝なのかわかりませんが、決まり文句で使われていて、丁寧さが伝わる言葉です。
ナナエじゃなくてヒチジュウというのがあるそうです。
どこにあるかというと、極楽。
七重宝樹というのは、金樹・銀樹・瑠璃樹・玻璃樹・珊瑚樹・瑪瑙樹・シャコ樹なんだというけれど、見たことはありません。何十年か先には見られると思いますが・・・。
「何十年か先とは随分強気なこと言ってるね。」ですって?
だってそうなんです。瑠璃も玻璃も磨けば光るというように、お掃除を毎日たゆみなくやっている会社をやっているんですから。
その上、墓石クリーニングを素人でもできるようにマニュアルを作って、広く広めることも始めているのですから。
世の心ある人の、お役にたてればとの思いが、広く伝わるとよいのですが・・・
写真は、峠の頂上に咲いていた夕暮れ時の八重桜です
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