2016年4月7日木曜日

夜は燃えといっても恋の歌ではない?

百人一首の中の恋の歌だと教わったが、どうも解釈にしっくりこないものを感じていました。
「昼は消えつつ」の部分です。
違う解釈があるのだと聞いて、納得しました。

御垣守(みかきもり) 衛士(ゑじ)の焚く火の 夜は燃え
   昼は消えつつ ものをこそ思へ         大中臣能宣(49番) 

昔の朝廷政治の意思決定をするのは、太政官であったが、実際の政は神祇官を通じてなされた。
神社の祭りごとを通じて、全国に政策を伝えたのだという。
稲の苗は神社でつくっていたのだというし、平安な生活ができるのは天子様のお蔭であると思っていたから、一生に一度は神宮に感謝の気持ちを表す為に手弁当で勤労奉仕に行ったのだという。
その中の若者男子は、御垣守すなわち警護役の衛士として、昼はその火を消すとはいえ、夜は篝火を焚き、徹夜で警護した。
「ものをこそ思え」とは、そういう人たちの気持ちを汲んだら、争い事などしている場合ではないだろう、という意味なのだという。

実に納得のいく解釈だと思うし、定家がこの歌を選んだのは流石だと思う。


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