2020年2月20日木曜日

建国日ですら蒸し返す


政権の確たる正統性があやふやだと、いつまで経っても国がまとまらない。何とか辻褄合わせしようとして躍起なようだが、無理なことは後からどうやったところで無理な話となる。
棚ぼた式ではあったが、韓国が正式に国として独立することができ、李承晩が初代大統領に就任したのは1948年である。終戦後3年が過ぎているから、日本との独立戦争をして勝ち取ったのだという主張はどうやったところで通らない。
以降、1948年が建国年であることは国際的にも認知された事実であり、文大統領は李大統領から数えて19代目の大統領として就任したのであることもまた変えようがない。
それでありながら、文大統領が「1919年建国」を主張するのは、捏造歴史からくる面子と彼の支持母体である抗日独立運動関係者やリベラル派に抗しきれないからであろう。
その彼らは、日本からの独立を求める朝鮮半島の市民が中国の上海に臨時政府を設立した1919年こそが建国年だと主張する。李氏朝鮮が近代化を独力で果たすことができず、清や露の顔色を伺うだけで終始していたことで国の滅亡が目前に迫り、日韓併合に頼らざるをえなくなって、朝鮮側からの強い要望が有っての併合であったことを無視している。
韓国の保守派は1919派のこうした主張に疑問を表明し、文の発言を牽強付会とまで批判している。自由韓国党の柳錫春(リュウ・ソクチュン)革新委員長は、臨時政府設立が韓国内でなされたのであればまだしも、領土も主権も国民もいなかった海外の地で、1919年を建国年とするのはどうやったって拡大解釈だと批判しているが、それが国際常識であり当然であろう。
そんなことで建国ができるなら、世界中がわけのわからない国だらけになる。勿論のこと、韓国の上海政府は国際的に認められた国ではなかった。
1919年建国を主張する左派勢力にとっては、1948年は建国どころか分断を招いた『失敗の年』という認識だ」としているが、苦しい主張である。1948年、韓国は8月に、そして北朝鮮が9月にそれぞれ独立を宣言して今に続く。それが南北分断の分かれ目になった。
そもそも、李承晩が何を血迷ったのか日本を攻めようとして軍を半島の南に集結させた背後を突いて、金日成が北側から攻め入ったのが朝鮮戦争であり、国家が二分された原因である。
李承晩は避難中の自国民を見捨て、漢口に架かる橋を爆破してまで自分は逃げ回ったが、釜山に追い詰められて命も危なくなったとき、恥知らずにも攻めようとしていた日本への亡命を打診した男である。
韓国以外の諸国は、そんな歴史を知っている。知らないのは韓国人だけであろう。
チュチェ思想に染まり、北との統一を心願にする韓国左派勢力にとっては、現在の韓国は北半分を欠く「不完全な国家」だということになる。そのため、臨時政府を設立した1919年を建国年とすることで、保守政権が長らく支配してきた「韓国史」は正統ではないと主張し続けているが、そんな理屈を北側だって認めるわけがない。
1948年の建国を主張する右派勢力にとっては、韓国はあくまで「正統で完結した国家」との認識だ。随分長いこと韓国の反共政策は徹底していた。共産主義を掲げソ連の支援を受けた北朝鮮と戦火を交えながらも、経済は成熟し世界に名をとどろかせる企業を輩出するまでに成功し、北朝鮮より優越した国家になった。
その先人たちの折角の努力に感謝することもなく、自分の思惑だけで動いている間に、国の経済も外交もおかしくなってしまったのではないのか。

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