2020年2月22日土曜日

ではどうすれば良かったというのか


どこの国のメディアも、自分たちの側から見た一面的な報道をするのだな、というのがこのところの偽らざる感想である。
そもそもが、クルーズ船の乗員を受け入れることを日本の責任だとすること自体がおかしい。
コロナウイルスに感染している者が多数乗船して居ると判断できる状態で、その彼らを日本に上陸させたら、日本国内に感染者が蔓延してしまう危険を、日本に押し付けて当然だとでもいうのか?
治外法権である船は、船籍を持つ国とその運営国が第一義的に責任を負うのではないのか?
日本は横浜に停泊した同船に対し、食料その他最大限の援助をしたのであって、それに対する感謝を述べる前に批判記事を載せるメディアには、人としての見識を疑わざるを得ない。
日本が武漢にチャーター機を飛ばして自国民を救出したのと比べ、同船の乗客たちを抱える国々は、いったい何をしていたというのか?危険を日本に押し付けて様子見をしていただけなのだと批判されても抗弁できまい。
日本は同船への対応に伴う人的・物質的・時間的損害の他に、メディアが垂れ流した悪評により、為替レートにまで影響が出ているのである。

「ニューヨーク・タイムズは乗組員の取材協力を得て、『1000人以上の乗組員は密集した空間で作業に従事。簡単なビッフェスタイルの食事を食堂で共にし、バスルームは4人でシェア』と生々しい描写で伝えた。自分たちの食事と入浴の方法や、乗客に食事を運んだりゴミを処理したりという仕事が、乗組員同士の感染リスクも高めている。彼らも危険な状況だと理解していても、いかんともし難いようなのです」

この記事にはワシントン大学の教授も登場、「日本政府の検疫は外部への感染を防ぐことはできても、船内での感染は防げない」と警告した。さらに「乗組員はマスクや消毒薬を手渡されているが、専門の訓練は受けていない」という。

これくらいであれば、まだなどは事実の報道の範囲内であると理解できる。

ライバル紙とされるワシントン・ポストは211日、「‘Dream job turns into nightmare: Virus fears grow among Diamond Princess crew(“夢の仕事”は“悪夢”に:ダイヤモンド・プリンセス号の乗組員にウイルスの不安が拡大)」との悪意ある記事を掲載した。
「やはり乗組員における感染の危険について、かなり長文の記事を掲載し、更にアメリカの国防総省が運営する星条旗新聞(「スターズ&ストライプス」)も、この記事を転載している。
ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストと言えば、世界的な知名度を誇るアメリカの高級紙である。両紙が共に日本政府、つまり安倍政権の隔離方針における欠陥を指摘したことは、人道的立場から尽力している安部首相をはじめとする関係者にとっては、相当なプレッシャーになったのではないだろうか。
しかし、批判ばかり口にしている国々は自国民の救済に関連して何をやったというのか?

ブルームバーグ通信は「日本が急速にコロナウイルスの温床に」との見出しで記事を配信。「最も危険な場所の一つとして浮上し、安倍政権が拡大を阻止できなかったと批判されている」と報じた。
英国では、SNSなどに船内の様子を頻繁に投稿していた英国人夫妻の感染が確認され、BBCなどは同国内にいる夫妻の息子が「日本での隔離が失敗だったのは明らかだ」「ちゃんと面倒を見てほしい」と涙ながらに訴える様子を伝えた。

壮大な「隔離の実験」(英紙ガーディアン)と報じられた2週間が終わり、下船した日本人以外の乗客乗員は、順次帰国することになった。海外各紙が「対岸の火事」として載せた日本への批判は、次は自国に突き付けられることになる。
ダイヤモンド・プリンセスを「疫病船」と見出しに掲げ「隔離計画にしくじって、中国本土以外で最大の感染拡大を引き起こした」と日本の対応を非難した米紙ウォール・ストリート・ジャーナルも、17日、船内で感染が拡大した点を問題視し「2週間も船内に大勢を押し込めた日本政府の方針に、日本国外の専門家からは疑問の声が上がっている」と指摘していた。
米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、17日の米紙USAトゥデーに対し「隔離は失敗した」と断言。「船の中でどんどん感染した。船内で隔離が甘かったからだ」と批判した。
伺いたいが、感染者と非感染者をどうやって分けることができるというのか?
英紙ガーディアンも18日、ダイヤモンド・プリンセスを「感染で煮え立っている鍋だ」と語る専門家の言葉を紹介。ブルームバーグ通信は19日、日本が「世界で最も危険な場所の一つになりつつある」と伝えた。

では、どうすれば良かったのか。海外各紙も解決策は示せていない。当事国ではなかったということだけである。
その他カナダのCBC放送は「選択肢は限られていた分、日本政府はもっと迅速に行動しなければならなかった」と報じた。
言いたい放題だが、正体不明なウイルスに対してどうすれば良かったのかという答えは、どこの国であっても出せまい。感染者かどうかを調べる検査キットすらままならない中で、日本は良くやったのである。

ダイヤモンド・プリンセスには200人以上のカナダ人が乗船していた。大半がチャーター機で帰国後は2週間の隔離だ。今度はカナダの対応の迅速さが問われる。お手並み拝見である。

米疾病対策センター(CDC)も18日、声明を出し、日本の隔離に関して「船内の人々の間で感染を防ぐには不十分だったかもしれない」と指摘したが、一方で「隔離のための日本政府の途方もない努力を称賛する」と強調している。それが普通の考え方なのだと思う。

16日にチャーター機で米国に戻った米国人乗客のうち14人がウイルス検査で陽性だった。米紙ニューヨーク・タイムズは「飛行機も安全でなかった」と書き、批判の矛先は今後、米政府に向かうことになりそうだ。コロナウイルスばかりかインフルエンザの大流行している米国で、日本に文句が言えるほどの対応がとれるとは思えない。

船内にとどまっていたから、感染ルートが確認できるのであって、対処方が分らないのであれば仕方ない。文句を言うのは簡単だが、必死で努力していることに感謝もできないようでは、その人間性を疑う。

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