2020年2月29日土曜日

穢れ・悪縁を切る仕草


日本では古来から人の前を横切る時、または雑踏に分け入っていく時などに、「手刀を切る」と呼ばれる仕草をする作法ある。手刀をやりつつ小腰を屈め気味にしながら「すみません」「前を通ります」などの言葉を添えて通る場合が多い。
手刀は元々、相手に掌を開いて見せることで、自分が武器を持っていないと表しつつ、自分が通ろうとしている道をも示すと言う意味を持っていたとされる。
また、腰を低めにすることや言葉を言い添えるのも、謙虚さの体現と言える。

大相撲では、懸賞金のついた相撲で勝った力士が、その懸賞金を受け取る際に手刀を切る。
軍配に乗せられている懸賞金に向かって左・右・中の順に手刀を切るというものであり、左がカミムスビノカミ、右がタカミムスビノカミ、中がアメノミナカヌシノカミという造化三神に感謝する礼儀であるとされている。

大人はしないが、子供がする仕草というのがある。誰に教えられたともなく自然にそれが子供の世界に伝わっているようである。
エンガチョは、日本における民俗風習のひとつであり、主に児童の遊びとしての認識しかないようだが、そもそもは「エンガチョを切る」というのがその使われ方である。
切るのは、「穢れ」や「悪縁」であり、それらを防ぐための特別な作法なのである。

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