2017年5月16日火曜日

童話「桃栗3年」

ももくり3年かき8年ということばがあります。
芽が出てから大きな木に育ち、花を咲かせ実がなるようになるまでに、それだけかかるとい
うことです。
うめはもっと長くて、18年もかかるのだと言われています。
皆さんも、大人になるまでには、20年くらいかかります。

あるところに、とても仲が良い桃と栗と柿と梅の種がいました。
仲良しだからといっても、いつまでも種のままでいるわけにはいきません。
がんばって大きくなり、子供をつくらなくてはならないのです。
そこでみんなは相談しました。
「お百姓さんに、畑にまいてもらおう。」ということになりました。
でも、根がのびたときにからまると、お互いがじゃまだといって喧嘩になるかもしれません。
そこで、おたがいの間をあけて蒔いてもらうことにしました。
土の中で根がのびたぶんだけ、木の枝はひろがります。
「枝が伸びて葉っぱが沢山ついたときに、なかよしだったことを思い出して、葉っぱと葉っ
ぱで握手しよう。」と約束しあいました。
芽が出てからはたいへんでした。
陽射しの強い日もあれば、雨が降り続くときもありました。枝が折れてしまうくらい強い風
が吹く颱風というのもありました。それはじっとがまんしなくてはなりません。
病気になることもありましたし、虫に食べられることもありました。
でも、みんなは「おおきくなってまた会おう。」という約束をまもるために、へこたれない
でがんばりました。
畑の栄養をよこどりしてしまう雑草や、木をよわらせてしまう害虫は、お百姓さんが退治し
てくれました。
自分たちもがんばったけれど、いろんな人のお世話になり助けてもらいました。
そうしてすくすく成長しました。
あるとき、成長して実をつけた木たちは、約束したとうり、また会うことができました。
もう子供ではありません。
いろいろのお陰が有って実をつけることができたのだと、自分たちのことがわかるようにな
っていました。
「そうだ、お礼に熟した実を食べてもらおう。」
感謝のきもちが強く育った木たちは、すこしでもおいしくなった実を沢山食べてもらい、よ
ろこんでもらおうと、おたがいにますますがんばりました。

桃も栗も柿も梅も、立派で美味しい実をならすことができました。

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