2017年5月22日月曜日

童話「狐の嫁入り」

むかしは、結婚式というと、今のようにみんなが集まって結婚式場でするのではなく
て、夕方から夜にかけて、お嫁さんの実家からお婿さんの家まで、提灯(ちょうちん)
という中にロウソクをともした道具の灯で足元をてらしながら、長い嫁入り行列をして
向かったのです。
里での嫁入りであれば、誰もが知っていることなので、不思議にはおもわないのですが、
遠くに見える山の峰などに、点々と灯がつらなっているのをみると、それは狐が嫁入り
をしている行列なのだと思ったのです。
狐のお嫁さんは、人間の美しい女性に化けて、駕籠に乗っているのだと言われますが、
本当にそれを見た人はいないようです。
夜ではなくて、昼間のお天気雨のことを、狐の嫁入りと呼ぶこともあります。
そのように呼ばれるのは、晴れているのに雨が降るというのが不思議で、まるで狐に化
かされているように感じてのことだと考えられています。
この嫁入りも、誰ひとり見た人はいません。
お天気雨の後の空には、きれいなニジがかかります。

そのニジの橋をわたって、きっと幸せなお嫁さんになるようにと祈ったのです。

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