2017年5月23日火曜日

童話「狸囃子」

満月の夜になると、気持ちがウキウキします。
そういう夜には、山の広場に狸たちが大勢集まって、うかれてお祭りを始めるのだとい
います。
皆が車座(くるまざ)と呼ばれる輪になって座り、お腹を膨らませて鼓(つづみ)のよ
うにポンポコポンと打つのです。
その音がお囃子のように聞こえるので、“たぬきばやし”といわれるようになりました。
そのお囃子の音がどこから聞こえてくるのか、と思って音の聞こえる方向へさがしに行
っても、音は逃げるように遠ざかってしまい、どこからその音がでているのかつきとめ
られないのだといわれます。
音の出るところを追っているうちに夜が明けてしまうと、見たこともないところにいる
ことに気づくというのです。
いまは、いなかの村も開けてしまったので、明るい満月の夜に外にでてみても、“たぬ

きばやし“が聞こえるということはなくなってしまいました。

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