2017年5月17日水曜日

童話「五色の鬼」

オニというと、こわい顔をして頭に角をはやし、かなぼうを持った姿を想像します。
でも、本当はどんな姿をしているのか誰もしりません。
オニは、北東の方角から、人にしのびよってくるのだと信じられていました。
これを「ウシトラ」の方角といいます。
方角は、干支(えと)といって、生まれ年による動物で表します。
皆さんが知っているように、ねずみ・うし・とら・うさぎ・たつ・へび・うま・ひつじ
・さる・とり・いぬ・いのしし、であらわすと、「ウシとトラ」の間になりますから、ウ
シの角をはやし、トラの皮のパンツをはいた姿で目に見える形にしました。

でも、オニがおそろしいのは、力があって乱暴だからということではないようです。
むかし、サトリを開いて立派な人になろうと努力している人たちにとって、ジャマをす
るものがありました。
心にうかんできてしまう悪い考えが、良いことにフタをしてしまうのです。
そのフタをしてしまうものをオニとよびました。
アカオニとアオオニはよく知られていますが、それだけではなくて、五色のオニがいる
のだと思われていたのです。

赤鬼は、何でも欲しがる欲深い心。
青鬼は、怒りの心。まずしい心。
黄鬼は、自分中心のわがままな心。
緑鬼は、けんこうを考えないで、だらしないことをする心。
黒鬼は、不平不満ばかりをいう愚痴。卑しい気持ち。
そういう悪い心に豆をぶつけて追い払い、平穏を願うのが、節分の行事になりました。

でも、本当のオニは、自分の心の中に住んでいるので、自分で追い払うほかありません。

放っておくと、オニはどんどん大きくそだってしまうので、こわいのです。

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