2017年5月28日日曜日

読み聞かせ童話「シュリハンドクと茗荷(みょうが)」

「みょうが」という野菜があります。
親ミョウガが春に芽を出したときの茎の白い部分をミョガタケと呼び、夏になって
根元から出てくるピンク色のものを普通にミョウガと呼んで、2回食べられます。

 昔の人は、ミョウガを食べると物忘れするようになるから、子供には食べさせるなと
言いました。
ほんとうは、そんなことはありませんが、野菜の匂いが強いので、子供は苦手かもしれ
ません。
どうして、ミョウガを食べると物忘れするといわれたのでしょうか。

ミョウガはシュリハンドクというお坊さんのお墓から生えてきた植物だからだというの
です。
ミョウガというのを漢字で書くと、「茗荷」となります。
字の通り、名前を荷う(になう)ということからだというのです。
シュリハンドクは、自分の名前すら覚えられなくて、背中に名前を書いてもらっていた
というくらい、物覚えが悪かったのです。

シュリハンドクは、お釈迦さんの弟子でした。
朝聞いたことを夕方には忘れているなんていう程度のもものではなくて、自分の名前ま
でわすれてしまうのでした。
皆から馬鹿にされるし、自分が情けなくて、お釈迦様に相談しました。
お釈迦様は、「大丈夫じゃ。」と言って1本の箒を渡され、「これで綺麗にしなさい。」と
教えたのだといいます。
シュリハンドクは、来る日もくる日も、何十年もの間、ただひたすらお掃除に励みました。

ある日お釈迦様が、そこを通るときに「随分綺麗になったね。だけどまだ1箇所綺麗で
はないところがあるよ。」とおっしゃったのだそうです。
それがどこなのかわからないまま、さらに数年掃除を続けていたあるとき、はたと気が
つきました。「汚れていたのは自分の心だった。」と。悟りです。

お掃除を長くしただけで、むずかしいといわれる悟りを開いたのです。

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